第1回の記事の中で筆者は「日常の収集品の整理は好きにやればよい」が、切手展に出品するコレクションについて「ある程度は他の切手収集家が展開するのと同じ方法で」やらないとダメです、と書きました。
その方法こそが、当連載のタイトルの一部にもなっている「切手展向けリーフ」です。人によっては「アルバムリーフ」とか、単に「アルバム」「リーフ」とだけ呼ぶ収集家もいますが、要は複数の紙に切手やカバーを配置した上で、それぞれの収集品に説明をつけて、自分のコレクションをもって、観客や審査員に見てもらうという方法です。
およそ全ての収集趣味において、収集物の展示方法が世界中の収集家の大半に支持され共有されているような趣味というのは、私たちがたしなんでいる切手収集=フィラテリーだけだと思います。古銭収集や紙幣収集、ベースボールカード収集やアイドルの生写真収集なども切手収集同様にメジャーな収集趣味ですが、切手収集の最大のポイントは「展示する楽しみ」があるということなのです。
この素晴らしい楽しみの第一歩を是非皆さんにも味わっていただきたいです。さて、リーフは、紙に切手を配置して説明を書けばできると書きました。では、ここでいくつかの例を見ていきましょう。まずは中1のK.Y君の作ったリーフから。
うん。確かに、紙に切手を配置して説明を書けば、リーフになると言いました。でも、このリーフにはちょっと問題点が多いですね。
- リーフに使っている紙が学校のノートの切れ端でしょうか?お客さんが見に来てくれているのですから、きれいな紙をつかなわなければなりませんよ。美しくないですよ。
- 切手が曲がっています。これも美しくないですね。
- 切手が裏糊でリーフにくっついています。展覧会に出す事で、切手の状態が悪くなってしまうのは避けたいですよね。次回以降に方法は説明します。
- 縦の長さが 2.1cm から3.2cm の文字が混在しています。これはちょっと大きすぎます。4-5mmの高さの均一の文字を書きましょう。また「発行」は漢字で書いた方がいいですね。
以上の4点を改善すると、実はリーフに2円切手一枚しか展示しないとブランクスペースが目立ちすぎる事に気付くと思います。
リーフに一枚しか切手を配置しない様な展示がないわけではありません。次の例は、19世紀のスイス切手のコレクションの一ページですが、たいへん稀少な切手であるため、その切手がどのような製造をされた切手であり、現在世の中にどの程度残っているかなどの情報を書く事ができ、切手一枚でも違和感がないものです。
でも2円うさぎ切手は、いつでも郵便局で買える発行されたばかりの切手です。珍しくも高価でもなく、したがって特段書けるような内容がないため、1リーフ1枚の展示は適切ではないのです。
じゃー、どうすれば良いかですが、それは、あなたがこの2円切手を含む、どのようなコレクションを作りたいかによります。
- 2円切手と共に52円切手や82円切手も発行されたので、それらや使用例と一緒に展示する。(伝統収集)※この方法で作った展示用リーフの例を下部に紹介します。
- 2円切手は消費税の増税に際して発行された切手なので、消費税に注目した郵便料金の変更の展示をする。(郵便史)※この方法で作った展示用リーフの例は連載の第3回に紹介するよ。
- うさぎ切手を他にも持っているので、うさぎの図案別収集をする。(トピカル)
- うさぎと言えば十五夜。昔は月にうさぎが居ると信じられていた。宇宙開発の話を作れないか?(テーマティク収集)
そう、ちょっと考えただけでも色々な収集方法が思いつくんです。それが切手収集の奥深さです。